ホテルＪ＆Ｊ（フィレンツェ）

２度目のフィレンツェですので、ホテルの選択に悩んだ末、ファッション系の某お気に入りサイトの本で紹介されていた4ッ星の「ホテルＪ＆Ｊ」を予約しました。ドゥオモ（花の聖母教会）からオリウォーロ通りを7〜8分程度歩いたサンタ・クローチェ地区にあります。ホテルの部屋が14室の小さなホテルです。フィレンツェのホテルらしくない名前ですが、建築家のオーナーが16世紀の修道院を改装、客室毎に内装が異なる、などの紹介がなされていました。いわゆるデザイナーズ・ホテルのようです。 　ホテルのパンフレットには「ヒストリック・ハウス・ホテル」とされており、日本語での紹介も付されています。廊下の途中に、確かに消えかかった宗教画の壁画があります。全体の雰囲気は、古いけれども普通の建物をオーナーの趣味でデザインした、かなり個性的なホテルだと言えます。トイレまで拘りがありました。

建物の中をぐるぐる回って、ようやく７号室が見える。一番奥まった位置にある。

部屋内部の間取りが、どこも細長い。	厚いカーテンを閉めざるを得ないので、どうしても薄暗い。左側は部屋の入口通路、右の拘りの箪笥は実用性に難がある。部屋の収納スペースが少ないので、スーツケースの荷物をすべて広げられない。

宿泊した部屋は、一番奥まった７号室で、ダブル・デラックス・ルームです。メールで直接予約を行いました。 　風変わりな間取りの細長い部屋で、浴室とトイレ・洗面所は完全に分かれていました。古い家具と手織りの布が売りですが、箪笥を初めとして陰気臭い感じでした。レースのカーテンが付いていない為に、厚手のカーテンを閉めると暗くて、気が滅入りました。部屋から見る中庭は、運悪く汚い所ばかり見えます。空調の効きも悪く、やや寒い。また部屋の中には階段や段差が多く、足を踏み外す危険があり要注意でした。

アップル・コンピューターのマッキントッシュシリーズでもそのデザインで有名だったPower Mac G4 Cubeを思わせるティシュペーパーの箱。これは優れたアイテムで、欲しい！。	アンティーク風の照明。

ルームキーは、重量感のある大型の金塊のような鍵です。ただ一つの優れ物は、バスタブです。この白いバスタブは広くて、日本の風呂のように深いので、手足をゆっくりと伸ばすことが出来ます。疲れた旅先ではたいへん気持ちが良いものでした。この点は5ッ星のホテルよりも、はるかに満足度が高いと言えます。

金塊のような部屋の鍵。　大きく重たくて洋服のポケットに入らない。　実は本物だったりして・・・（苦笑）。

日本人にとっては嬉しい、深いバスタブ。ただしフィレンツェは水回りが悪いので、お湯が溜まるまで時間がかかる。焦せってはいけない。

ところでフィレンツェではトイレの水洗のチェックが重要です。前回宿泊した「ロッジャート・デイ・セルヴィーティ」では、水洗の水が一晩中ポタポタと落ちる状態になり、たいへん気になりました。そこで部屋に案内されると、先ずトイレのチェックです。ところが今回は水が全く止まらなくなりましたので、直ぐにフロントに電話をします。スタッフが３０分ほどかかって直しました。水洗の水量を調節する浮き（水位計）の調整が、いつの間にか狂っていたようです。

食堂は中庭に面した１階で、天井は修道院風です。ここからの眺めは、部屋とはちょっと違って、まずまずです。 　朝食は簡素でした。ジュースは、オレンジとグレープフルーツ。ミネラルウォーターはありません。果物は、丸のままのりんご、オレンジ、バナナ。ヨーグルトは一種類。パンは、クロワッサンと堅いものの二種類。生ハムは一種類。シリアルと牛乳。スタッフがコーヒーの注文を取りに来たので、カフェラテを注文します。

フロントは、ハンサムで寡黙な男性と若い女性が二人で交代で勤めていました。フロントの男性に、日本のガイドブックにも載っている、ホテルからも近いイタリア家庭料理のレストランの予約をお願いしましたが、定休日のようで電話が繋がりません。 　代わりに紹介してくれたレストランが、地元では有名な「Ristorante LA GIOSTRA」でした。前日の夜、そのレストランの前を通って、準備中でしたが、印象に残った店でした。日本のガイドブックには載っていませんが、行ってびっくりでした。これが、Ｊ＆Ｊに泊まった最良の出来事でしょうか。名物オーナーと、なんと修業中の日本人シェフがいました。お料理はボリュームたっぷりで、味付けは濃い目でしたが、なかなか良い味でした。

チェックアウトの後、昼食用に外のバールで買ってきたポテトとトマトのピザを食べようとすると、ホテルのスタッフが、大皿を用意して中庭のテーブルを勧めてくれました。白の大型ガーデンパラソルの下で気分良く食べていると、突然雨が激しく降ってきました。イタリアの4月は天候が実に不安定です。この季節、宿泊客は少ないようで閑散としていました。聞くと、５月には日本人宿泊客も来るそうです。

		初めてフィレンツェに行かれる方にはお勧めしません。リピーターの方で、普通のクラシックホテルに飽きた方、風変わりなホテルに泊まりたい方、オーナーの趣味に賛同出来る方にお勧めです。最近このホテルは、雑誌各誌で良く見かけます。紹介されているのはスイートルームですので確かに豪華ですが、部屋毎に内装が違うそうなので、事前に良く確かめる必要があります。その意味では、スイートルームの方が無難だと思います。 　ドゥオモからも近いので観光にも便利ですが、繁華街とは逆方向ですので、人通りの少ない道を歩きます。 　スタッフの方に不満はありませんが、オーナーの趣味と合いません。残念ながら私達のイメージと違いすぎました。妻は酷評でした。 　フィレンツェのホテル選びは難しいと思いました。
変形版パンフレットの右側部分の写真です。	フィレンツェ郊外にもホテルを経営しているそうです。

CONTAX 645 D35mm F3.5, P80mm F2 / Fuji PN400, FORTIA SP Fuji TIARA ix TITANIUM 作成日　2006/01/07、　最新更新日　2008/06/21